精液検査でわかること。ふたりで確認する、最初の一歩
妊活というと女性の検査や治療が先に語られがちですが、妊娠にかかわる要素の半分は男性側にあります。そして男性側の最初の一歩は、とてもシンプルです——精液検査。この記事では、検査でなにがわかるのか、結果をどう受けとめればいいのかを整理します。
精液検査でわかること
精液検査では、おもに次のような項目を調べます。
- 精液の量 — 1回の射精で得られる精液の量
- 精子の濃度・総数 — 精液のなかにどれだけの精子がいるか
- 運動率 — 前に進む力のある精子がどれくらいいるか
- 正常形態率 — 標準的なかたちの精子の割合
検査は痛みを伴わず、多くの場合1回の来院(または採取キット)で完了します。体調や採取までの期間によって結果が変動するため、1回の数値だけで判断せず、必要に応じて再検査を行うのが一般的です。
結果が思わしくなくても、道はある
数値が基準に届かなかったとしても、それで終わりではありません。いまの生殖医療には、その先の選択肢があります。
- ICSI(顕微授精) — 1個の精子を卵子に直接注入する方法。精子の数や運動率が低い場合に検討されます。
- TESA/TESE(精巣内精子採取) — 射出精液中に精子が見つからない場合でも、精巣から直接精子を採取できることがあります。
- ドナー精子という選択肢 — 上記がむずかしい場合の道も閉ざされていません。くわしくは日本人ドナー精子のセクションで解説しています。
「ふたりで受ける」が、いちばんの近道
不妊の要因は女性側・男性側のどちらにもあり得ます。どちらかが「調べてもらう」のではなく、最初からふたり一緒に検査を受けること。それが結果的に、時間も気持ちの負担もいちばん少ない進め方です。検査そのものは医療機関で受けていただくものですが、その前後の「どう考え、どう選ぶか」は、私たちが一緒に整理できます。
WHOの基準値 — 「下限」の意味
| 精液量 | 1.4mL以上 |
| 精子濃度 | 1mLあたり1,600万以上 |
| 総精子数 | 3,900万以上 |
| 運動率 | 42%以上(前進運動率30%以上) |
| 正常形態率 | 4%以上 |
WHOマニュアル第6版(2021)の下限基準値です。この数値は「妊娠できる・できないの境界線」ではなく、自然妊娠したカップルの下位5%にあたる参考値。下回っていても妊娠する方はいますし、上回っていても時間がかかることはあります。数値は「次の一歩を考える材料」として受けとめてください。
検査の前に知っておきたい3つ
- 禁欲期間は2〜7日が目安 — 長すぎても短すぎても数値が変わります。医療機関の指示にあわせて
- 1回の結果で結論を出さない — 体調やストレスで結果は揺れます。再検査で印象が変わることはよくあります
- 施設によって検査の精度が異なる — WHOマニュアル準拠の検査かどうかは、確認しておきたいポイントです
本記事は教育・情報提供を目的としたもので、診断・治療の助言ではありません。検査・治療の判断は医療機関にご相談ください。