台湾の卵子提供——制度・費用・流れをやさしく整理
日本国内では、卵子提供を受けられる道がごく限られています。その現実の先で、多くのご夫婦が検討しているのが台湾です。制度・費用・流れを、はじめての方に向けてやさしく整理します。(2026年7月確認)
なぜ、台湾なのか
国内の卵子提供は、JISART(日本生殖補助医療標準化機関)の倫理委員会に承認された場合などに限られ、件数はごくわずかです。一方、台湾は人工生殖法(2007年)で卵子提供が制度化されており、ドナー登録のしくみが整った「アジアでもっとも近い、制度のある国」。飛行時間3〜4時間という距離も、複数回の渡航を現実的にします。
制度の枠組み — 30秒でわかる表
| 受けられる人 | 不妊の法律婚のご夫婦(婚姻証明の提出が必要)。現行制度ではソロ女性・女性カップルは対象外(対象拡大の改正案が審議中) |
| ドナー | 20歳以上40歳未満の健康な女性。匿名が原則 |
| 対価 | 無償が原則。「提供に伴う必要費用」として上限9万9,000台湾ドルの支払いが法で認められている |
| 提供回数 | ドナーが提供できるのは(自分の子ども以外では)1人の出産までという厳格な制限。主管機関が確認 |
| 子どもの身分 | 生まれた子は、受け取ったご夫婦の嫡出子とみなされる |
費用の目安
公開されている情報では、卵子提供プログラムの費用は、最初の胚移植までで55〜60万台湾ドル(円換算で約260〜280万円)という水準が目安として示されています(2024年時点の公開情報)。凍結できた胚が複数あれば、2回目以降の移植は初回より小さい費用で挑戦できます。金額は医療機関・治療内容・為替で変動するため、費用の考え方の4ブロック(治療・渡航・滞在など)で総額を組み立ててください。
流れと渡航のイメージ
おおまかには、①相談・書類準備(婚姻証明・これまでの治療記録など)→②ドナーのマッチング(匿名。血液型や外見的特徴などの条件で医療機関が調整)→③ドナーの採卵と受精・培養→④ご本人の周期にあわせた移植、という順で進みます。渡航は検査・打ち合わせと移植で複数回になる例が多いものの、進め方によって回数・日数は変わります。滞在の考え方は台湾のページの渡航メモへ。
帰国後のこと、そして「出自を知る権利」
第三者の卵子で出産した場合、日本の特例法により出産した女性が母になります(法律・親子関係)。出生届などの手続きはこちらの記事で整理しています。もうひとつ大切なのが、台湾のドナーは匿名が原則だということ。将来の子どもへの告知や、治療の記録をどう残すかは、治療を始める段階から一緒に考えておきたいテーマです(出自を知る権利)。
ミライライフの視点
制度が明確で、距離も費用も現実的——卵子提供を考えるご夫婦にとって、台湾は最初に検討する価値のある国です。いまは対象が法律婚のご夫婦に限られていますが、対象拡大の改正案が立法院で審議されており(続報記事)、制度が動いている国でもあります。最新の前提確認から、一緒に始めましょう。
参考:台湾・人工生殖法および公開情報(2026年7月確認)。本記事は教育・情報提供を目的としたもので、特定の医療機関をすすめるものではありません。制度・費用は変更されることがあります。